「ゴースト・イン・ザ・シェル」公開。世界観や見所をおさらい

加藤広大 加藤広大


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出典:「Ghost in the Shell」Official Trailer

2017年4月7日より、ドンパチと電脳戦が得意な公務員の悲喜こもごもを描いた映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」が公開されています(これを書いているのは公開の2日前、4月5日です)。

監督はなんと本作が2作目のハリウッド作品、ルパート・サンダース。

出演は少佐役にスカーレット・ヨハンソン、荒巻役に北野武、トグサ役にチン・ハン、少佐(素子)の母親に桃井かおり・・・・・・え? 桃井かおり出てるの? なかなかおもしろい面子ですね。

さて、今回はその「ゴースト・イン・ザ・シェル」をより楽しむためのアレコレをいろいろと書いていくわけです。「ゴースト・イン・ザ・シェル」、またの名を「攻殻機動隊」といいます。

攻殻機動隊

なるほど、見るからに攻めの姿勢を忘れない組織なのだな、機動力がありそうだなということが分かります。カクカクしていて強そうです。

そう、「攻殻機動隊」は日本の漫画/アニメ界のなかでも、ひたすらタイトルの画数が多い作品として知られているのです。

名は体を表すと昔から言います。どれくらい表しているかと言いますと

http://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/04/seimei.jpg出典:いい名前ねっと

どうですか、この迫力。

天格は『信頼性 忍耐 成功』。これは公安9課のメンバーたちの間にある絶対的な信頼性、粘り強く調査を続ける忍耐、そして任務の成功のことでしょう。

さらに人格は『摩擦 孤立 頭脳明晰』。政治や権力の摩擦をうけて、孤立してしまうけれども、頭脳明晰で腕達者なメンバーの力により状況を打開する。まるで笑い男事件、個別の11人事件における9課の行く末を言い当てているかのようではありませんか。

原作者の士郎正宗は『GHOST IN THE SHELL』をタイトルにすることを希望していたそうですが、今となってみると攻殻機動隊というネーミングで正解だったのではないでしょうか。

名前の話はこれくらいにして、本作の見所といえば、『マイクロチップの魔術師』、『ニューロマンサー』の影響を受け、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟に影響を与えるなど、「SF」という名のミームをしっかりと受け取り、今も芽吹かせ続けている、徹底的な設定を背景に練り上げられた世界観でしょう。

過去作の世界観を確認するために、『攻殻機動隊 新劇場版』のPVを観てみましょう。今までの作品が数珠つなぎにされているので、捉えやすくなっています。

Reference:YouTube

非常に分かりやすいSFのイメージですね。2029年あたりの日本、現実の世界とは違うパラレルワールドが舞台です。

ざっとこの世界の歴史をさらってみますと、1996年に第三次世界大戦、1999年には第四次世界大戦が勃発しているという非常に火薬臭い世の中です。

ちなみに同年、北京に隕石が落下し中国共産党の指導部が消滅しています。9月には日本が核攻撃を受け東京も壊滅しています。

そして2024年に第四次大戦が終結。

後の2028年7月には日本の鶴岡首相が暗殺され、この事件に危機感を覚えた日本政府が翌年の2029年に公安9課、つまり攻殻機動隊を設立します。

組織の性質上、手厚い義体メンテナンスと湯水のように使える予算、最新鋭の装備に福利厚生、ペットにもなりそうな多脚戦車の支給など、かなりのホワイト公務員ぶり。

募集要項は自薦不可、引き抜きや推薦で採用され、階級無しの実力主義、トップは首相のみ。という非常に風通しの良い団体です。

その9課に集まったメンバーの個性も、シリーズを名作足らしめている大きな要因です。詳細なメンバー紹介をしたいところですが、長くなってしまうので箇条書きでいきましょう。

メンバー紹介

荒巻大輔


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

見た目は大人、心も大人、9課の頭脳でありクセのあるメンバーを束ねる親方

草薙素子


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

リーダーのメスゴリラ。世界屈指の義体使いでスーパーハカー

バトー


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

犬が好きです。でも少佐はもっと好きでぇす。な元陸軍レンジャー4課所属のサイボーグ

トグサ


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

アニメ版ではヒロインの一角を担う。時折メンヘラな一面を見せるカワイイヤツ。生身なのに撃たれても死なない

イシカワ


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

9課の検索担当、実は付け髭らしいが深層はネットの闇の中。本業はパチンコ屋

サイトー


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

中二病を発症して傭兵稼業をしていたところ、素子に半ば強制的にスカウトされたスナイパー

ボーマ


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

イシカワと並んで検索担当、爆発物のスペシャリストかつ童貞

パズ


出典:「攻殻機動隊 新劇場版」オフィシャルサイト

影は薄いがかなりのジゴロ、接近戦ならお手の物「同じ女とは2度寝ない主義」とは本人の弁

矢野

原作、アニメ版ともに殉職。矢野は二度死ぬ

タチコマ

9課のアイドル。かわいい。3体集まるとAI戦隊タチコマンズになる

ちょっと端折りましたが、こう並べてみるとかなりクセのあるメンバーですね。特攻野郎Aチームかと思いました

このように練りに練られた世界観、個性的な登場人物、9課が直面する社会の闇、権力の暗部、義体化と生身、AIとゴースト、人とは、機械とは、魂とは何か、などなど、さまざまな点が線を紡ぎ、まるでネットワークのように複雑に絡まり合い面を成し、ときには立体的になりながら「攻殻機動隊」という像を成していく。この絡まった面白さというのが、シリーズを通しての最大の魅力ではなかろうかと思います。

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」1話目は、こんなメッセージからはじまります。

あらゆるネットが眼根を巡らせ
光や電子となった意思を
ある一方向に向かわせたとしても
“孤人”が
複合体としての“個”になる程には
情報化されていない時代・・・
引用:「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」

これって何だか、最近の世の中みたいですね。

そうそう、もうひとつ攻殻機動隊で重要な要素があります。それは「音」です。

各作品を担当したメンバーは豪華も豪華、川井憲次、菅野よう子、コーネリアス、「EX MACHINA」では細野晴臣が音楽監修と、いずれも素晴らしい音源でシリーズを支えています。

劇場版アニメ「イノセンス」なら、75人もの民謡歌手(西田和枝社中)が歌う『傀儡謡クグツウタイが有名ですね。川井憲次が手がけました。

Reference:YouTube

さらにクライマックスに使用された傀儡謡では、4回収録したコーラスを同時に流す事によって音に厚みを持たせるという、まるでお前はマイク・オールドフィールドかと突っ込みたくなるほどの小技も使われています。

さらに、劇中で使用されたオルゴールの曲は、音源をわざわざ大谷石採掘場跡の地下で再生、録音したものが使われており、これも天才音楽家、マジカル・パワー・マコが鍾乳洞で録音したエピソードを彷彿させると、主に私の中だけで盛り上がっています。

そして、アニメシリーズを彩った菅野よう子の楽曲群。個人的には、「マクロスプラス」で培われた手法が「カウボーイ・ビバップ」で昇華され、攻殻機動隊シリーズにて、アニメ音楽のひとつの到達点を迎えたと考えています。

そんな素晴らしい菅野よう子の楽曲群のなかでも、いちばんおすすめしたい曲はこちら。

Reference:YouTube

ふざけていません。大マジです。

ちなみに最新作の音楽担当は、ダーレン・アロノフスキー監督作品でお馴染みの、クリント・マンセル。残念ながらまだ映画自体未見なので評価はできませんが、聞こえてくる断片の印象では、とても期待できそうです。

そろそろ最新作の話題にも触れておきましょう、実写版のトレイラーです。

Reference:YouTube

知っている方は何箇所もピンと来るはずです。原作やアニメ版のオマージュがふんだんに散りばめられていますね。

一場面ずつ比べて検証しようかと考えていたのですが、すでに比較動画がYouTubeにアップされていました。外部記憶装置は偉大です。

Reference:YouTube

義体が完成する瞬間、起床時、柱に隠れたところを撃たれる、ビル飛び降りシーンから光学迷彩、芸者ロボットに水しぶきがあがる戦闘シーンなどなど、ファンなら思わずにやっとしてしまいます。

また、素子とバトーが船の上で話し合うシーンも入っているようです。アニメ版でも「ゴースト」について話す重要な箇所ですね。

そして、なかでも注目を集めたのがこのシーン

http://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/04/takamero.jpg出典:「ゴースト・イン・ザ・シェル」 | ファースト・トレーラー

・・・・・・高めろ! じゃないわw

冗談はさておき、PVを観た感じでは、期待半分、不安半分と言ったところでしょうか。いずれにせよ色んな意味で、楽しみであることには変わりありません。

そもそも、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の原作者は士郎正宗、元々は漫画作品です。これを原作として押井守が映画版神山健治が「S.A.C.」、黄瀬和哉と冲方丁が「ARISE」をそれぞれ作成しています。

他にも小説、ゲーム、スロットなど、派生はたくさんありますが、おおまかに言って前述の3つが攻殻機動隊シリーズを支える柱となります。そして原作を核として、時代・キャラクター・ストーリーともに大きな違いがあります。ので、「◯◯が違う」というのは野暮天というものでしょう。

草薙素子のキャラなんて、今回の実写映画がどうのこうの以前に変わりまくっておりますので、劇場公開後「あんなの攻殻機動隊じゃない」という意見があった場合、それはまったくの的外れとなります。そんなことを言っている人がいたら合田一人の発言くらい信用してはいけません。

さてさて、この攻殻機動隊シリーズ、あまりに歴史と設定が複雑すぎて、とてもじゃないけれどコラム1本で説明しきれません。それほどまでに深く、長い歴史を持った作品群なのです。もちろん、私の脳のスペックが追いついていないことも原因のひとつです。ああ、早く電脳化したい

これを書くために一応原作からアニメシリーズ、以前作成された映画群、ついでに「東のエデン」や「RD 潜脳調査室」まで観直してみたのですが、その結果、あまりの情報量の多さに締切前日になってもこの体たらくでした。

まるで攻性防壁に焼かれたプロト君のように完全に脳が機能停止してしまっています。

でも、その説明できなさがまた面白い

見所紹介とか言っておきながら説明できないで終わるのは非常に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、ゴーストの囁きを上手く言葉にできないのと同様に説明できないものは仕方がない。

しかし、これだけは言えます。何度観ても新しい発見があります。数ヶ月後、数年後と、時間を経て、現実世界のテクノロジーと見比べてみるのも非常に楽しい。そして「さよならバトーさん」で毎回涙するのです。

人工知能なんて最近話題ですが、今のご時世に観るにはもってこいで、まさに今、この時代に強くおすすめできる作品です。

いやはや、期待半分、不安半分と言いましたが、本当に楽しみです。これが公開される頃には、おそらく私も観ていることでしょう。

そのうちこのコラムを踏まえて、どこかで映画評でも書きますので、そのときはまた、広大なネットの海のどこかでお会いしましょう。

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