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映画「たかが世界の終わり」で感じたのは、現実以上の体感だった

こいぬまちはる こいぬまちはる


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出典:「たかが世界の終わり」オフィシャルサイト

エンドロールが終わった途端、右斜め後ろの観客が大きなため息をついた。やれやれといった、明らかに否の空気で。劇場を出る時には、同じ回を観ていたと思われる初老の夫婦が顔を見合わせ「ん~」といった表情。これは、グザヴィエ・ドラン監督の最新作「たかが世界の終わり」上映後の出来事。他の観客に感想を聞いてみたい気がしたけれど、好き嫌い、理解できるできないが分かれる作品なんだろうなぁと思った。

今や賛否がはっきり分かれた感のある「ラ・ラ・ランド」は解った上で嫌いという感じなのに対し、本作はよく分かんない上に好きじゃないという感じだろうか。私はちなみに「ラ・ラ・ランド」は4回観ています。大好きです。そしてこちらも、「もう、なんてもの撮ってくれちゃってるの!」とドラン監督の肩を抱いて揺さぶりたいくらい好き、大好きです。

 
登場人物は、主人公のルイ、母親と妹、兄と兄嫁の5人。ストーリーは、病で余命いくばくもない事を家族に告げるため12年振りの帰省をするルイと、その家族の数日間を描くもの。

セリフらしいものはほとんどない主人公ルイは、相手の態度と言葉を聞いてから反応して言葉を発する、一貫して完全な受身だ。一方、派手なメイクと服で、人の話は聞かずに自分勝手、いやらしさと愛らしさを併せ持った母親は、ドラン監督が得意とする母親像を表現しており、さすがだった。また、自分が幼い頃に出て行った兄の記憶はほとんどないのに、都会で成功している兄への憧れと疎遠にされた反発の両方を持て余す妹。そして、突然の帰省をいぶかしがる、嫌味っぽくて短気な兄。初対面のルイに緊張し、ぎこちない大人しめの兄嫁。ほぼその5人の会話のみで物語が進んでいく。

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