新生活の季節だ。進学や就職、異動といったライフイベントにより、来月から新たな環境に飛び込んでゆくことへの不安を抱えている方々も多いのではないだろうか。「どうやって馴染もう」とか「どうやって定時で帰るキャラを定着させよう」とか、新天地に関する悩みは尽きないこととお察しする。あと「どうやってモテよう」とかな!
そう、春は出会いの季節である。そしてこの世には出会いのプロがいる。大阪ミナミのナンパ師たちだ。わたしは難波・日本橋エリアにほんの一年とちょっとの間住んでいただけのシロウトであるが、控えめに言って彼らのコミュニケーション能力にはぶったまげた。
買い物袋をぶら下げて歩けば「自分、なに買ったん?」と中身を覗き込まれ、雨の小路を傘もささず小走りでゆけば、軒下で雨宿りをしていたおじちゃんたちから「ガンバレガンバレ」と熱い声援を受ける。「よう走ってえらいなあ」と褒められさえする。それは幼児や犬に向かって使う類の褒め言葉ではなかったのか。大阪ミナミのおじちゃんたち以外のいったい誰が、32歳無職のわたしを、ただ「小走りした」というそれだけで、褒めてくれることがあろうか。いやない。
というわけで、このたびは、皆さまが新天地に対して抱える不安を少しでも軽くできるよう、大阪ミナミで遭遇したナンパ師たちの奇行3選をお届けしたい。思わぬキラーパスを繰り出す彼らのテクニックをご覧いただき、「どんなに失敗しても、ここまで狂ったパスは出さないな」と安堵の念を覚えていただけたら、幸いである。