胡散臭すぎる「信用できない言葉」20連発

加藤広大 加藤広大


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ちょっと街を歩いたり、ネットや本を読んでみたならば、世の中には「清純派セクシー女優」「今だけ半額」「信頼できる情報筋」など、なんだか信用ならない言葉がたくさん存在することに気付く。

本コラムでは、そんな「信用できない言葉」を21個ほど見繕って突っ込んでみることにする。どれもどこかで見かけたり、実際に自分が人生で言われた言葉である。

春から社会人になる方などにおいては、社会の荒波に出るための参考資料となれば幸いであるし、もうすっかり心も汚れてしまった大人たちにおいては、あるあると楽しんでいただければとても嬉しい。

世の中で見聞きした「信用ならない言葉」20連発

1. 実印貸してくれ。大丈夫だから

「俺が◯◯やってといてやるから、実印貸してくれ。大丈夫だから」

と親戚のおじさんに言われたことがある。完全に信用ならない。どう考えても信用ならない。しかもおじさんはアル中だったものだから、さらに信用ならない。

判子関係の貸し借りは、若い方は特に気を付けて欲しい。実印は例え親でも貸してはいけない。

2. 通帳だけ貸してくれ

「広大くんいろいろ大変でしょう〜。お金入れてあげるから通帳だけ貸してくれない〜?」

とは、ネットワークビジネスを営む親戚のおばさんからいただいたお言葉である。もちろん断った。

「今の日本と世界がいかにヤバいか、私の先生に聞いてみない?」

「とってもいいお茶があってね、癌とか治っちゃうのよぉ〜!」

と、薬事法を完全に無視したパワーワード満載の誘いもいただいたが、もちろん断った。

3. 信頼できる情報筋

情報筋が明かされない時点でまったく信用できない。漢字と画数が多めなので、ついつい考えなしに受け入れてしまいがちだが、これって要は「知り合いの話」である。カフェで女の子同士が

「マリちゃんがぁ〜、マブダチの北朝鮮軍関係筋から手に入れた情報によるとぉ〜」

「ビビンパー!」

などと会話しているのを想像して欲しい。どれだけ胡散臭いかお分かりいただけるかと思う。同じく「事情通」なる言葉もあるが、これまた信用できない。

4. 清純派セクシー女優

信用ならない、というよりは何だかモヤモヤする言葉の筆頭である。清純は良い。だが後についている「派」が分からない。そもそも清純「派」とは何なのだ。

「清純」とは、けがれなく純真であることである。「派」とは主義、思想、態度などを同じくすることによってできた集団や仲間のことで、それらの流れや仲間を表す語の下について、それがひとつのまとまった組織・傾倒や傾向を持っていることを示すのにも用いる。と辞書に記してあった。

となると、清純派セクシー女優とは、汚れなく純真な思想を同じくしたセクシー女優の集団を示す言葉なのだろうか。余計わけが分からなくなった。なんだかモヤモヤする。

5. 俺◯◯と知り合いだから

いきなり人脈自慢をぶち込んでくる時点で既に人として信用ならない。◯◯には有名人の名前が入り、「誰ですかそれ?」と訊くと相手は非常に不機嫌になる。

実際には知り合いではなく、知り合いの知り合い、つまり赤の他人であることも多いのでしょうもない。なかにはSNSのやりすぎで気が狂ってしまったのか、Facebookで繋がっているからという理由だけで脳内友達認定してしまう人もいる。

6. 友達の友達が言ってたんだけど

何度だって言いたい。友達の友達は他人である。

7. 今回はギャラ少ないんですけど上手くいったら結構仕事ふれそうなんで

何度か言われたことがあるが、その後仕事がふられたこともないし、高単価の案件が舞い込んできたこともない。仕事が上手くいかなかっただけかもしれないが、「完璧っす! 先方も超喜んでました」と述べた台詞は嘘だったのだろうか。

本当に信頼できる人はきっちり対価を払ってくれる。また、対価が払えない場合は曖昧な代案を提示しない。人付き合いを考え直したいひとことである。

8. こちら側のどこからでも切れます

確かにどこからでも切れる。切れるのだが、変な切れ方をしてしまうことも多い。また、なぜか切れないこともままある。どこからでも切れると書いてあるのに切れなかったとき、どこからでも切れるという謳い文句に偽りありと、人はキレる。

これが「たぶんこの辺から切れます」とか、「切れますがたまに切れにくいです」と書いてあれば無用の怒りは起こらなそうなものだが、社会はそれを許容しない。世知辛い世の中である。

9. 食べるだけで痩せる

食べたら太る。そんなに太らなくともたくさん食べたら太る。これ、世の中の真理である。そもそも、食べるだけで痩せた人を見たことがない。食べる=痩せるではないことは少し考えたら分かりそうなものであるが、ハマってしまう人は少なくないと聞く。

事実、私の周りでも何人か、そんなダイエットをしていた人がいて、よく話を聞いたものだ。しかし、今思い出してみると、みんな食べるだけで痩せるものを食べていたら食べすぎて太っちゃった人ばかりであったような気がする。

10. 痛かったら止めるので手を挙げてください

「痛かったら削るの止めますので」とか、「痛かったら麻酔を追加するので」と言われるのだが、痛くて手を挙げてみたものの「もうちょっとだから我慢してください!」「すぐ終わるんで!」と作業の手を止めてくれないことが多い。私はいちど「邪魔だ!」と言われたことがある。

どうせ止めてくれないなら言わなければいいのにと思う。有無を言わさず縛り付けて、ガリゴリやってくれればいいのだ。そのくらいの緊張感が合った方が、覚悟も我慢もしやすいような気がする。

また、マスクにより可愛さが20%アップした歯科衛生士が横に居たりすると、ちょっと恥ずかしくて手を挙げられない。あれはずるい。

11. 全米が泣いた

全世界が何度も突っ込んでいることだとは思うのだが、一応入れておきたい。他にも全米が震えたり、震撼したり、恐怖したり、恋したりする場合もあるが、まあ同じようなもんである。

南北アメリカ大陸は泣かない。よしんば、全米が全米国民の略だとしても、全員は泣いていないだろう。「全米がちょっとだけ泣いた」「全米がわりと泣いた」などと表記してもらえれば少しは信用できそうなものなのに。

「日本中が泣いた」「全世界が泣いた」などの派生系もあり、これまたどれも信用できない。

12. アカデミー賞大本命

もっと他に書くことがあるだろう。もしくは書くことによってデザインが崩れるだろうと突っ込むのも最早野暮な領域に存在する「アカデミー賞云々」の文字列。

アカデミー賞最有力候補、最多ノミネートなど、とにかく数で押してくるマッチョなワードが並ぶのが特徴で、前述した全米が泣いたなどと組み合わされることが多い。

あくまでアカデミー賞の大本命なだけで、作品の面白さを担保しているわけではないという点で非常にポイントが高い。

13. アルバトロス配給

「アメリ」「善き人のためのソナタ」など、アルバトロスには素晴らしい映画も多い。しかし、それ以上にB級映画が多い。「これは絶対に名作に違いない!」とレンタルしたVHSの本編開始時に映し出されるアルバトロスのロゴ、もう嫌な予感しかしない。そして予感は現実となる。が、秀逸なB級映画も多いので、ここでの信用できないは褒め言葉である。

14. 今だけ半額

世にあふれる「今だけ半額」は、「ずっと半額」という意味である。たとえば東横線沿いに点在している某ステーキ店は、もう10年近く前から肉類半額チケットをポスティングしている。

最近見ないなと思ったら、半額と表記せずに半額の値段で営業している始末である。それって、元からその値段だったんじゃないのか。

15. YUKIに似てる

女子に女子を紹介してもらう場合、「どんな子? 誰に似てる?」と質問して「YUKIに似てる」と返って来たらヤバい。なぜヤバいかと言うと、「YUKIに髪型だけ似てる」という意味だからである。

YUKIだけでなく、今ならおそらく「のっちに似てる」でも代入可能かと思う。確実に髪型だけ似ている大本彩乃が登場するはずだ。

16. 人生の半分損してる

「本当の雲丹を食ったことがないなんて人生の半分損してる」「ビートルズを聴いたことがないだなんて人生の半分損してる」など、人生半分損してると言いたいだけマンの言葉はまったく信用ならない。

そもそも、人生の半分って何なのだろうか? 80年生きるとするなら40年分損しているということなのだろうか。考えてみても何が人生半分なのかよく分からない。人生の半分損した気分である。

17. 一発OKです

私の職業はデザイナーである。ちょっと狭い範囲で恐縮なのだが、デザイナー稼業において、決済権を持っていない担当の「一発OKです」ほど信用できない言葉はない。

ほぼ確実に「すみません! 修正入りました!」と折り返しの連絡がやってくる。

他にも「これで校了です!」「すごくいいと思います!」「これでいきましょう!」なども同じくらい信用できない。辛い。

18. 良い人なんだけどね

一通り人の悪口を言ったあと、「まあ、良い人なんだけどね」と言う人がいる。まったく信用ならない。

絶対お前そいつのこと嫌いなだけだろ。と突っ込みたいのだが、不機嫌な顔をされたり、今度はどこかで自分の悪口を言われてもたまらないから、黙って聞きながら距離を取るようにしている。

19. 最初だけ我慢して後から好きなことをやればいい

偉い人や偉くないおじさんが、若者に対して言うことを聞かせようとする際に使用する言葉である。

経験上、最初我慢しておけば、後でやりたいことをやれるなんていうことは絶対にない。やりたいことをめげずにやり続けていた人間だけが、やりたいことをできるのである。騙されてはいけない。

20. 今度仕事回すよ

回って来ない。特に飲み屋で言われたら、ほぼ確実に回ってこない。たまに回ってくることもあるが、話が違ったりする。

これをあてにして高価な買い物をしてしまったり、エンゲル係数を上げてしまうと目も当てられない。特に独立したりする際にこの言葉を言われたら、数に入れないようにするのが最も確実である。

21. 何か一緒にやりましょう

一緒にやることはない。そもそも何かとは何なのだ? 本当に何かをやる場合ならば、その時点で「何か」を決めて実現に向けて動き出しているはずである。

よって、「何か一緒にやりましょう」と言われた場合、やることは無いと思って差し支えないし、多分あなただけでなく他の人にも言っている。

信用できない言葉たち

世の中で見聞きした「信用できない言葉」たちをいろいろと並べて突っ込んでみた。どれもこれも信用できないが、どこか抜けていて、愛嬌のある言葉たちだなあと、個人的には思う。

「騙しやがって!」とキレる前に、面白がって考えたり、突っ込んだりしてみるのも、精神衛生上よろしいのではないだろうか。人生も楽しくなるのではないだろうかと、信頼できる情報筋は語ってくれた。

ちなみに、本コラムのタイトルは『胡散臭すぎる「信用できない言葉」20連発』だったのだが、実は上から数えたら21連発だった。まったく信用できないタイトルである。

というわけで、今まで書かれた「信用できない言葉たち」への突っ込みが信用できるかできないかは、読んでくれた皆さんにお任せすることにして、私はアカデミー賞大本命、観るものすべてが恋に落ちると評判の「ラ・ラ・ランド」でも観に、行けたら行こうと思う。

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