1. 新海誠×RADWINPS
新海誠作品にRADWINPS。なぜ今までやらなかったんだろうというくらい自然で、かつ一気に新海監督の作品の「ど真ん中」に近づける組み合わせだと思います(今回「ど真ん中」だった要因は複数あると思うのですが、ここでは省略)。このRADWINPSの音楽がかかる瞬間、新海監督のこだわりをとても感じます。観客はグッと心を持っていかれますよ。
2. トリップ&トリップなストーリー
ちょうど最近、『ダンス・ダンス・ダンス(村上春樹 (2004年)講談社)』を読んだのですが、どこか異世界(“今ここ”でない場所)にトリップしつつストーリーが展開していく点でいうと、「君の名は。」は村上春樹さんの作品と共通するところがあると感じました。実際、新海監督は大学生の頃から村上春樹さんの作品が好きだとのこと。その影響も、もしかするとあるのかなぁ・・・なんて思います。
3. 震災を想起させる描写
わたしも24年生きてて、変わり、忘れてしまったことがたくさんあります。「君の名は。」の彗星が落ちた糸守の景色を見たとき、地元である福島県の震災直後の海辺の町を思い出しました。「そうだ、わたしはあの時、確かに絶望したんだった」と。あの「立ち入り禁止」のフェンスや無人となった町も、福島県の立ち入り禁止区域を思い出させます。
それにしても、彗星が落ちるシーンはとても幻想的で美しかった。流れる音楽も『スパークル(RADWINPS)』という、ゆったりとしたピアノのメロディが印象的なバラードででした。「シン・ゴジラ」のあの絶望シーンもそうだったように、人が手も足も出ない絶望、圧倒的な絶望。それはどこか神々しいものなのかもしれません。
きっとこれからも、変わり、忘れていくことがたくさんあるだろうけど、「君の名は。」はわたしにとって忘れてはならない記憶を思い出させてくれました。
出典:「君の名は。」予告篇