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(後編)ゲルインキボールペン「ハイテックC」はなぜ廃れたのか

原田真帆 原田真帆


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前回はハイテックCという名のゲルインキボールペンの登場とその絶頂期、転換期をたどった。後編では潜伏期と称して現在の状況について考察したい。

ジェネリック文具の逆襲、そして潜伏期

90年代に登場し、ゼロ年代は大ヒットしたハイテックCであったが、10年代に差し掛かると、時代の風潮と共にその雲行きは怪しくなっていた。

さらにハイテックを追い込んだのが、ぺんてる(スリッチーズ)とゼブラ(プレフィール)、三菱鉛筆(スタイルフィット)がカスタマイズ型ボールペンに参入したことだった。

初めこそハイテックCコレトがトップシェアだったが、次第に他社製品の存在感が増してゆく。既存の人気ボールペンの書き味を織り込み、色言葉といった謳い文句のうまさとレース柄のボディで乙女心を掴んだぺんてるの「スリッチーズ」。自社ブランドの水性インクのみならず、油性ボールペンレフィルやシャープペンシルに消しゴム、果ては原点回帰の単色ボディまで揃える多彩さで魅せたゼブラの「プレフィール」と三菱の「スタイルフィット」。彼らをわたしはハイテックを脅かした「三銃士」と名付けたい。

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カスタマイズ三銃士。左からスリッチーズ(ぺんてる)、プレフィール(ゼブラ)、スタイルフィット(三菱鉛筆)

コレトの弱点は、あろうことか、そのカスタマイズ力だった。後発の「三銃士」の方が圧倒的な選択肢を誇り、またより女子ウケが良いデザインであったのだ。

ハイテックを出すパイロットコーポレーションは、その著名な商品の中にシャープペンシルの王道「ドクターグリップ」がある。通称「ドクグリ」は、それこそ長く老若男女に愛されてきた商品。「ドクグリ」を有するパイロットとしては「男子ウケ」「大人ウケ」も捨てがたい要素であったに違いない。

しかし、世は「カスタマイズ女子」がはびこる時代。新しいフラペチーノが出ればいち早く飲みに行くのがステータスである。新しい限定商品が出れば買う、という「乙女心」を最もよく掴んだのは三菱「スタイルフィット」だった。ハイテックは次第に、ペン売り場の真ん中を他社に譲ることとなる。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/01/S__12746777.jpg
スタイルフィットも初めは3色用しかなかった上に、ボディの塗装が剥げやすかった。今では5色用や限定柄も

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